80's SURFER DISCO 70年代後期~80年代初期に栄えたサーファー系ディスコ回顧録。当時の音楽やファッションを徹底検証!


●匠の技

プロだからこそ操れる技

事前プログラムなど無しでその場その場の状況判断から生まれる技

僅かながら私所有の当時の営業テープの中にその断片が残されています

これらの曲が新譜でありニューダンスで踊られていた事と

その時期にブースに立ち連夜の宴を演出されていた事が大切なのです

今現在これらの再現をしていても所詮は真似事

当時の勢いには到底及びません

クロスフェーダーを使ってBASSイコライジングを切ってなどという

スタイルとは違い(HIP-HOP R&B世代ですね)

使うフェーダーは縦ファーダーのみ

MIX中イコライザーはいじくらないのが基本(当時はですよ)

レプリカやコピーではない本物の匠を体験していただきたく

素朴な当時の職人技
私の主観ですが拾い集めてみました

MIXヲタク的な分析よりも当時のフロア状態を想像しながら

楽しんでエキサイトしてくださいませ

この瞬間大勢のお客が踊っていた事も忘れないでください




★匠の技を体感してみよう♪(LATE 70's 編)

匠の技1
1979年収録
タイコのキツイビートほどMIXは難しく汚くも聴こえてしまいがち
これは美技としか言いようがありません
匠の技2
1979年収録
この2者の曲自体知らない方にはどこからどこで替わったのか
理解できないと思います

当時は2曲ともヘビーローテのアイテムです
匠の技3
1979年収録
前者の曲を当時12”バージョンで流していたお店私は知りません
こういった組み合わせを瞬時に発想できた職人さんのもとで
踊り捲くれた人は幸せです

匠の技4
1979年収録
前者の曲メチャBPM不安定なのに見事に重ねています
この選曲でこの繋ぎの瞬間だけで涙が溢れます
匠の技5
1978年収録
この頃のツナギを耳にできる現存テープは希少
大方のディスコはMCがメインでした
難しいテンポをキレイにのせてすり替えています
フロアはアフロ&ファンキー族達の宴
匠の技6
1979年収録
これも前者の曲はDJ泣かせの課題曲でした
DJ MIXが浸透してきた時期ですがMC対応が殆ど
大変貴重な匠の美技をご覧あれ
匠の技7
1979年収録
ダラダラ長いバージョンでなくブレイクのままフェードアウトする
ドーナッツバージョンで見事に重ねています
もたついていたらあっという間に曲が終わってしまう
匠の技8
1979年収録
スムースに次の曲へ移行する違和感を感じさせない選曲
よほどヒット曲に執着している人以外継続して踊るであろう
サーファー時代の一部を甦らせる貴重な選曲&MIX
匠の技9
1979年収録
両曲とも不安定なBPMで上手く重ねてすりかえています
現場でのMIXと選曲は予定調和的な事前選曲にはない
スリル感と生のLIVE感がひしひしと伝わってくるのです



★匠の技を体感してみよう♪(EARLY 80's 編)


匠の技1
1980年収録
小節合せて入れるところで入れ切るべきところでフェーダーを切る
当たり前のようですが難しい
選曲も当時旬の最高の組み合わせ
匠の技2
1981年収録
この曲それぞれ単独で繋ぎ目を聴いてみると驚異です
選曲センスとテンポ合せの鬼技です
匠の技3
1982年収録
ノリを計算していないとこんな選曲できません
よく繋ぎをしくじってドツボにハマるパターンは聴きました
確実に一発で決めています
匠の技4
1982年収録
美的なLONG MIXです
後者のイントロはテンポが不安定で意外と難しいです
当時気持ちよく踊れたパターンですね
匠の技5
1981年収録
有名曲同士だからといってツナギがダサければ
今までのノリがシラケてしまいます
これが本物のプロのMIX
土曜の夜の狂宴を思い起こさせてくれます
匠の技6
1981年収録
前者はブレイクの無い曲で敬遠するDJ多かったです
当時現場でこの技が出た瞬間場内がどよめきました
驚異の鬼技!
匠の技7
1981年収録
似通った曲調同士のツナギですがこれが意外と難しい
計算された変わり目は実に美技
フロアのヴォルテージは最高潮へ
匠の技8
1983年収録
スロー明けからの強力ツナギ!
アップテンポが主流の時代にミディアムを正確にMIXできるのが
プロの腕前
匠の技9
1981年収録
俊敏、機転、精度と兼ね備えた物凄い選曲と技術
前者の曲はここで処理しないとドツボの地獄へ
選曲の組み合わせも鋭い
匠の技10
1980年収録
ノリノリの状態から更にアクセルを踏み込む選曲
テーブル席から更にフロアに駆け込む連中もいて
いよいよディスコの狂宴が始まります
匠の技11
1981年収録
どこから重なってきたのか判別できほど凄い
後曲のほうも低音域がでかくスピーカーが
ハウリング起こしていました
匠の技12
1981年収録
上記のMIXからの続きものです
選曲アイディアも音質感もバッチリ
MIXも含めて職人技
匠の技13
1981年収録
後者の曲はヒット曲だがアタマのツナギはムズイ
SLOW明けのみで誤魔化すヘタレもいたくらい
これぞ手本のツナギ
匠の技14
1981年収録
ギターのカッティングを上手く活かしたMIX
前者の曲のブレイクでビートが入ってくる前に上手くカット
ダラダラかぶせりゃいいというものではない
音がきたなくなってしまう
匠の技15
1982年収録
両方ともにフロアヒットした基本曲です
しかし後者はBPMが速くオンエアまでお膳立てが必要
これは唐突なテンポアップのCUTではなく
ドラムブレイクで引っ掛ける高度なテク

匠の技16
1982年収録
ブラ専からダンサーまで奮い立たせた驚異の選曲&MIX
切るポイントからインのポイントまで凄すぎです
カットインでは絶対に得られない興奮です




元プロDJとは?

元プロDJと一概に言いましてもグレードが存在しています

営業中のブースに入ってプレイすれば経験者としての

既成事実は成立してしまうわけですが

お店の看板背負ってメインをはっているチーフとレギュラーDJ陣から

飽くまでもサポート役の学生バイトDJ(ヘルパーともいいます)まで

ピンキリというわけなのです

技術的な部分での個人差はあるでしょうが

何の保証も無い世界に身を投じて

この時代でこれ一本で飯を食っていた本職のDJと

卒業→就職という別の人生プランが用意されている

学生稼業の片手間でDJをやってたバイトとは根本的に

責任感と危機感の温度差が違います

中にはバイトから本職になってしまう方や

真面目に取り組んでいた学生ヘルパーもいらしたので

一概には判断できませんが

遊びの部分でしかDJ職を理解、経験していない

期間バイト(ヘルパー)や見習いモドキなど

これらを全てひっくるめて元プロとするのは開きがあるように思えます

週6日お店にいてお客が数百人以上に膨れ上がる

ゴールデンといわれる時間帯をこなすレギュラーDJと

平日の深夜番や谷間の時間帯専門のバイトDJとでは

経験値も技術力も違い過ぎるのです

毎晩不特定多数ののお客さん相手をこなしていた腕の持ち主こそ

プロDJと呼べる人物だと思います

MIX(ツナギ)が上手い、マイナー曲に詳しい

そんな事だけでプロDJを計ってはいけません

当時やっていたパフォーマンスと経験をそのまま活かせて

不特定のお客を楽しませるノウハウを持っている

これこそが職人の証なのです

趣味で好きな曲だけかけてりゃいいDJと

魂を削りながら青春時代をプロDJとして捧げた者は違うのです

ここまでプロDJを称えておきながらなんですが

レギュラーでありながらもダメDJはいました

仕事しないでナンパばかりにうつつをぬかすエロ野郎

音楽センスが無いのに居座り続けるただの目立ちたがり屋

新譜やマイナー曲を疎かにし

世間で一般受けしてからちゃっかり使いだし

常に安全牌的なミーハー曲ばかりかけているような怠け者など

魂を削るどころか楽して肥える名ばかりDJは当時から噂になってました

業界から永久追放された者もいれば

コネ・癒着といった世渡り上手さだけで生き長らえた者もいます

プロの中でもグレードがあるという事は事実なのです





★インフォメーション

本コーナー「DISCO MIXの世界」も例外でなく過去の遺産を取り上げています

現在進行形にあるものや生産できるものと違い資源に限りがあります

頻繁な更新はできませんのであらかじめご了承願います



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