★DISCO MIXの世界プロローグ(飛ばして機材の話へ行く) 読み物「DJになりたくて」 ■当時のディスコDJ達に敬意を込めて■ このコーナーでは初歩的なお話を中心に当時のDISCO MIXを 振り返ってみたいと思います その前に!この時代に数々のMIXテクで楽しましてくれた サーファーディスコのDJという姿を知っていただきたく 少々お付き合い願います この時代のDJは決まった店舗で週6日レギュラーでプレイする 要するに職業(プロ)DJが主流でした(レギュラーDJともいいます) ※学生稼業の片手間で回していたようなバイトDJや見習いや補欠クラスは省きます 仕事中は自己趣味を抑制しながら お客を楽しませる(満足するまで踊らせる)事に徹しなければなりません こういった厳しい職業訓練を受け認められた者だけが 輝かしいDJとしてのステージに立てたわけです 現代ではDJ=マニア、コレクター、ヲタクといった 道楽の延長業として世間では受け止められているようです そういった自己趣味意識とは異なる次元でターンテーブルと向き合っていた のが当時の職業DJ達なのです 当然中古屋あさり、廃盤店巡り、レア盤発掘といった習慣はありません 新譜の情報に気を配ったりレコード会社を廻ったりするのが 当時のDJワークの一環なのです 今と昔では大きく異なっているわけです 今では曲知識が豊富、レコードを沢山所有している等の理由で DJとして受け入れられてしまうようですが プロとアマの間には曲の引き出しやツナギ技術だけでは超えられない 膨大な経験の差が存在しています(お客の分析力、踊らす技術や選曲技術などなど) それ故に未経験者がディスコDJのような事をしていても それは「真似事」でしかありません 本HPで述べる「ディスコDJ」と現代の「DJ概念」とは質も ワーキングスタイルも異なっていますので(同一視されないように) その辺の事情は充分にご理解いただけるようにお願いいたします もしDJというモノを今現代のクラブ&イベントDJというカタチでしか ご存知ないようでしたら昔のディスコDJという職業DJが存在したという事実を 知識のひとつに加えていただけたらと強く願っております それでは引き続き「DISCO MIXの世界」のコーナーを堪能くださいませ |
★当時の機材のお話し DISCO MIXを行う為には通常ピッチ付き(回転速度調整)ターンテーブル2台と ミキサーという複数の音源をひとつのラインから出力する機材が必要です 昔、友達が家に遊びに来ると「なんでプレイヤー2台もあるの~?」と 不思議な顔して訊かれました(笑) 今は女の子でも「おっ!DJやってんだ!」とスグ解る時代になったんです DJ機材の一般普及率は大変目まぐるしく発展を遂げたのです 上記の3点セットをアンプとスピーカーに繋げていよいよDISCO MIXが 出来る環境が整うのであります(レコードも沢山必要です) DJの技術面は後ほどとしまして サーファー時代のDJ機材は現代のように品が豊富ではなかったのです なにしろ「ベスタクス」がまだ設立される以前の話ですから・・・ ミキサーは国産品で「TEAC」(現TASCAM)が主流でした 中には輸入品ディスコ専用ミキサーとして「サーウィンベガ」や「ロデック」を 設置してある豪勢なお店もありました 国産のミキサーは元々楽器用(トラックダウン)に作られた機材が大半でして DISCO MIX向きではないので色々と苦労がありました 当然フォノ端子もありませんしステレオフェーダーでもありません 1chのフェーダを2つステレオ化してカニのように上げ下げしていたんです(笑) フェーダー用のリンク・ノブなんてのも別売りでありました 勿論!クロスフェーダーもありませんしでした この当時はボリュームフェーダー(通称縦フェーダー)でのミックススタイルが スタンダードでしたのでクロスは必要なかったのです 現代ではクロスフェーダーやロータリーフェーダーが主流で 縦フェーダー使いは馴染みがないと思います 人によって好みはあるでしょうが当時のプロは縦使いであり 数々の技を披露していた事は事実であります 私は今でも縦フェーダーにこだわり当時のレコード達を 丁重に持て成しています |
近年では手軽にDJ機材を購入できることもありまして 多くのオールド・ディスコ愛好家の方達などが プライベートで購入されているようです 私達世代でも「大人の趣味」として 確立されつつあると思います(参考1) オーディオ機器感覚で2台目・3台目とミキサーを 買い替えられている方も多いです 当時のスタイルに浸りたいのでしたら モニターがクロスから独立した 縦フェーダーのミキサーを推奨します |
参考1(提供コレクターM氏) |
ターンテーブルは「テクニクス」と「デンオン」が主流です 「SL1200MK2」もこの時代から活躍していました しかしこの時代のDJ憧れのターンテーブルは少し違うんです 「テクニクスSP15」と言うデジタルピッチ搭載のモンスターマシンがそれです 正に精密なMIXをする為のターンテーブルなのです 立ち上がり抜群でターンテーブル部も大きく多少の反り盤でも気にせずプレイ出来ました 因みに1台で現代のMK3が4台ほど買えてしまうお値段でしたけど(笑) 対抗で「デンオンDP-80」も人気で超強力な立ち上がりで安定感抜群! 停止ボタンはフェーダーでカットした様にピタリと止まる怪物モーターです 精密なミックスが要求されたこの時代には欠かせない機材でありました お店によってはピッチの付いていないターンテーブルを設置していたようで 担当DJは大変苦労して選曲していました(笑) その後機材の発展と共にMIXのスタイルも大きく変わりました でも私と私の友人達はこの時代の手作りのスタイルを いつまでも愛好していくことでしょう |
★当時のレコードチョイス 本題に入る前に前説を少々 当時のディスコは殆どのお店で保有のレコードストックがあり DJは手ぶら出勤で技術だけの提供で済みました 現代のクラブDJやイベント専DJのようにマイレコード持参という 営業スタイルではなかったのです ディスコではお店で用意されたレコードの範囲で選曲し 営業しなければなりません(ワンジャンル、自己趣味選曲は許されません) 現代クラブのように音楽ツウやDJの追っかけ?が集う ほぼ玄人客相手とは訳が違います サーファー当時でいくらファッションなど外見はオシャレといえ 音楽トーシロ同然なお客さんやミーハーさんが大半で レベルを考慮して楽しませなくてはいけません これができなきゃDJ失格即効クビです レコードはDJ自らが責任持ってチョイスし経費購入されたものです お店によって経費の差が大きく新譜の早さやマイナー曲のオンエア率に 左右されていたようです さて本題に移らせていただきます 当時レコードとは踊らすための食材であり 包丁とまな板がミキサーなど機材であったわけです その全てを使いこなす料理人はDJです 新譜という食材を選ぶにあたっては 良い料理を作るためとても重要な作業になります 自分がコショウが好きだからといって お客さんに強烈なペッパー味を押し付けるわけにはいきません 一部の食通や富豪しか口にしないような料理も場違いです 全てはバランスであったのです しかも他店との差別を計る個性も考慮しなくてはなりません チーフDJと料理長は同じ職人として例えられていました 最近ではDJを始めるためにレコードを買うという マニュアル料理人のような流れになってしまっている部分もあります どの時代にせよ資金力が物を言わせるのは変わらないです レコード貧乏になっても得られる見返りは期待できない 所詮は道楽人の戯れなのか 因みに当時のDJ連中も遊ぶ事で頭が一杯 中古屋廻りやレコードハントなんてありえない サーフィンにドライブに酒に女 外交的で遊び好きで青春していました |
★DJになりたくて DJという職種が登場する以前では 軽快なMCと踊らす事の選曲センスあるフロア従業員が 入れ替わりレコードを廻していたそうです 次第にお客に評判の良い従業員が専任となり 箱が巨大化しフロア業の負担が大きくなったりで DJという専門職が分業確立したのであります 私達サーファー時代では既にDJは専門職にあり 最盛期では多くのディスコユーザー達の憧れ的存在になっていました さてこのディスコDJという職 当時はどうやったらなれたのか疑問に思われている方も多いと思います 簡単にいいますと「絶対にDJになってやる」いう強い意思と コネ、人脈、運だと思います コネをつくりたくてウエイターから始めたり 直接弟子入りを志願したり 志望者達はDJという狭き門をこじ開けるのに必死でした 運良く見習いになれてもイバラの道が待っています 上下関係の厳しい世界で人によっては露骨なイジメやパワハラもある 途中挫折したり逃げ出す者も数知れず 大きな系列会社ではDJ協会などが契約していて 試練を乗り越え一人前となっても修行と称し暫く地方に飛ばされる 給料もかなりピンハネされるなど(業界内でかなり問題になりました) 師匠、兄弟子には絶対に逆らえない鉄の掟があるのです ある意味芸能界の法則とダブッて見えてしまいます こういった苦労人の方とは反面 友人に業界人がいてすんなりとブース入りできてしまう人もいたのです 中にはろくに訓練も受けずに遊び半分的に廻していたような ただの留守番係り的なバイトもいました(レギュラー陣のシモベか) コネの無い人にとっては実に恨めしい実情だった事でしょう どちらにせよ当時は狭き門であった事には変わりありません どの時代にも存在しているようですが 遊ぶ事で頭が一杯であるヤング達が集うディスコで踊らず DJブースをひたすら見つめながら自論や曲知識を呟く DJウォチャーや選曲評論批評家風情といった輩等は ディスコDJになりたかったのだけれどなれなかったなりの果てなのでしょう 「言うが易し、行うは難し」 とは申しても遠い過去の話 今では誰でもDJになれてしまうユルさ 趣味でまわす現代と本職としてまわした当時を混同しないように くれぐれもお願いいたします |
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